赤字案件が終わった直後、社内で「振り返り会議」を開く会社は多いですが、その内容が「PMの反省」と「次回からは気をつける」で終わっているなら、再発はほぼ確実です。
赤字案件の振り返りに必要なのは、犯人探しではなく仕組みのどこにズレがあったかを特定することです。本記事では、再発防止につながる5観点の振り返り方を解説します。
振り返りを失敗させる3つのパターン
赤字振り返りで起きがちなのは、以下3パターンです。
- PMが「自分の力不足でした」と謝って終わる
- 上長が「次は早めに相談しろ」と言って終わる
- 「結局あの顧客が無理だった」と顧客のせいにして終わる
どれも、原因と再発防止が結びついていません。人ではなく仕組みを見るが振り返りの大前提です。
振り返りで見るべき5観点
観点1:見積はどこで何がズレたか
- 楽観バイアスがあったか/前提条件が抜けていたか/除外事項を書いていなかったか
- 上長レビューを通っていたか/類似案件の実績を参照したか
ここは「PMが甘かった」ではなく、見積運用の仕組みを見ます。
観点2:要件は最後まで未確定が残っていなかったか
- 中盤時点で何件の未確定要件が残っていたか
- 顧客側のレビュー期限は守られていたか
- 自社内で「決めきれない要件」のエスカレーションは行われていたか
観点3:進捗はどこで悪化が見えたか
- 進捗率と消化工数の乖離はいつ検知されたか
- 検知から経営層への報告までのタイムラグはどれくらいだったか
- 上長レビューでその数字が議題になっていたか
観点4:品質はどこで荒れたか
- レビュー指摘・テスト指摘の件数は想定の何倍だったか
- 手戻りの発生領域はどこか
- 品質指標を週次で見れる状態だったか
観点5:顧客合意はどこで崩れたか
- 変更要望は文書化されていたか
- 検収条件は事前に握っていたか
- 顧客側の意思決定者は明確になっていたか
振り返り会議の進め方
赤字案件の振り返り会議は、以下のルールで進めると人ではなく仕組みに焦点が当たります。
- PMを含む案件メンバー全員が参加する(上長・営業も含む)
- ファシリテーターはPM以外が務める
- 5観点を順に見る。1観点20分の時間枠を切る
- 「誰が悪い」は禁句にする。「どこの仕組みが機能していなかったか」だけ議論する
- 観点ごとに「次に変える仕組み」を1つだけ決める
5観点で5つの仕組み改善が出れば十分です。多く出しすぎると実行されません。
振り返りの結果を経営判断につなぐ
振り返りで出てきた仕組みの改善は、PM個人の努力で実現できることではありません。
見積レビュー、変更管理、進捗報告、品質指標、顧客合意――どれも経営層・開発責任者の判断が必要です。
振り返りの出口は、PMの反省ではなく経営の意思決定にしてください。
案件運営の仕組みを定点で点検したい方へ
赤字案件の振り返りで毎回出てくる仕組みのズレを、案件単位ではなく組織として定点観測したい場合は、PM組織健康診断 を使ってください。
赤字検知・変更管理・育成体制・レビュー文化など、振り返りで何度も話題になる観点をまとめて可視化できます。
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