赤字案件が出るたびにPMが責められる――この光景が日常になっている会社では、赤字は減りません。
PMが責められると、次に起きるのは情報を出さなくなることです。情報が出てこなければ、経営層は手を打てません。赤字はさらに増えます。
この記事では、赤字案件を「個人の責任」ではなく「組織の仕組み」として捉え直すための組織レビューの進め方を整理します。
「PMを責める文化」が赤字を増やす理由
PMを責める文化が定着すると、以下の悪循環が始まります。
- PMが赤字の兆候を上長に上げにくくなる
- 上長への報告が「順調です」一辺倒になる
- 経営層が赤字を検知できるのは、もはや手遅れの段階
- 表面化した時点で、PMが個人の責任を問われる
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この悪循環を断つには、文化の問題として扱うのではなく、仕組みとして組織レビューを設計し直すことが必要です。
組織レビューを設計する4ステップ
ステップ1:レビューの対象を「人」から「仕組み」に変える
赤字案件が出たときのレビュー対象を、PMの能力ではなく以下の仕組みに変えます。
- 見積運用:レビューを通っていたか/前提条件は揃っていたか
- 変更管理:受付ルールはあったか/吸収/請求の区分は機能していたか
- 進捗判断:上長レビューで先行指標を見ていたか
- 顧客合意:検収条件・変更受付ルールは合意されていたか
- リスク判断:未確定要件・新規技術はどう扱われていたか
ステップ2:レビュー会議の進行ルールを変える
- ファシリテーターはPM以外
- 「誰が悪い」は禁句
- 「どこの仕組みが機能していなかったか」だけ議論
- 観点ごとに「次に変える仕組み」を1つだけ決める
ステップ3:上司レビューを定例化する
赤字案件の振り返りを単発で終わらせず、上長レビューを週次の定例として組み込みます。
週次で見るのは案件全体の先行指標、月次で見るのは特定案件の深堀り。
赤字が出てから振り返るのではなく、赤字が出る前に上長レビューで気づく仕組みにします。
ステップ4:レビュー結果を経営判断につなげる
レビューで出てきた仕組みの改善は、経営層の意思決定が必要なものがほとんどです。
見積レビューの強化、変更管理の様式変更、上長レビューの時間確保――どれも経営判断です。
レビューの出口を「PMの反省文」ではなく「経営の意思決定リスト」にしてください。
経営層が変えるべきは「自分の言葉遣い」かもしれない
赤字案件の報告を受けた瞬間、経営層が口にする最初の一言で、PMが情報を出すかどうかが決まります。
「なんでこうなった」と聞くか、「いま何がわかっていて、何がわかっていないかを教えてほしい」と聞くか。
これは些細なことに見えて、組織レビューが機能する/しないの分水嶺です。
案件運営と育成の仕組みを伴走で整えたい方へ
「PMを責める文化を変えたい」「赤字案件の振り返りを仕組みに変えたい」――こうした課題は、外部の研修だけでは変わりません。
PM育成支援 では、御社の経営層・開発責任者と一緒に、レビュー会議の設計、上長レビューの運用、振り返りの進行を伴走で整える支援を提供しています。
PM代行や顧客折衝の代行ではなく、御社の中の人がPMを育てられる仕組みを作る、というスタンスで関わります。
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