「うちは毎回見積が外れる」「同じ規模の案件なのに、PMによって見積が倍違う」「経験のあるベテランが抜けたら見積が崩れた」――小〜中規模のIT受託会社で繰り返し聞く悩みです。
これらは、PM個人の見積スキルの問題ではなく、会社として見積の仕組みを持っていない問題です。本記事では、見積がブレる会社に共通する4つの欠落と、仕組み化の4ステップを整理します。
見積がブレる会社の共通点
1. 過去実績の参照が個人の記憶に依存している
「あのときの似た案件は何人月だった」をベテランの記憶で答えている会社は、その人が抜けた瞬間に見積根拠が消えます。
過去案件の実工数・実費用が一覧で見られる状態になっていないことが原因です。
2. 前提条件のテンプレートがない
「ヒアリング前提」「データ移行は別」「テスト環境は顧客提供」――前提条件を毎回ゼロから書いていると、抜けが必ず出ます。
3. リスクバッファの根拠が「20%乗せる」だけ
「適当に2割」のバッファは、上長レビューで削られて終わります。
未確定要件件数、新規技術領域比率、検収条件の不明瞭度などから積み上げるルールが必要です。
4. 見積レビュー基準がない
上長レビューがあっても、何を見るかが決まっていない場合、レビュアーごとに判断がブレます。
チェックリストがない見積レビューは、形式的なお墨付き発行になりがちです。
仕組みとして整える4ステップ
ステップ1:過去案件の実工数を一覧化する
Excel1枚で構いません。直近2年の案件について「案件名/業種/規模感/見積工数/実工数/差分/差分理由」を並べます。
これだけで、新規案件の見積根拠が「個人の記憶」から「組織の資産」に変わります。
ステップ2:前提条件・除外事項のテンプレートを作る
業務系・Web系・基盤系など、自社の主力領域ごとに、よくある前提・除外事項のテンプレートを整えます。
PMが見積を作るときは、まずテンプレートを開き、案件ごとに不要なものを削る運用に変えます。
ステップ3:バッファ算定ルールを明文化する
「未確定要件1件あたり◯人日」「新規技術領域比率◯%以上ならバッファ◯%」など、項目に分けたルールを置きます。
ルールがあれば、上長レビューでも顧客交渉でも、削るときの判断材料になります。
ステップ4:見積レビューチェックリストを作る
10〜15項目程度のチェックリストで十分です。
前提条件・除外事項・過去実績照合・リスクバッファ根拠・検収条件・変更受付ルール・体制前提・顧客責任範囲・品質基準・運用引き継ぎ範囲、などを並べます。
見積精度はPM個人ではなく会社の能力
「うちの見積担当が優秀」と言える状態は、危ない状態です。
その人が抜けると一気に崩れます。
見積精度は会社の能力であり、仕組みで支えるものです。
自社の見積運営を点検したい方へ
「うちの会社は見積運営を仕組みにできているか、個人依存になっていないか」を点検したい場合は、PM組織健康診断 を使ってください。
見積だけでなく、変更管理・進捗判断・赤字検知・育成体制まで含めて、PM個人ではなく会社の仕組みとして点検できます。
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