「来月から君がPMだから」と言われたら、まず何から手をつけますか?多くの新任PMは、WBSを作り始めたり、進捗管理表を整えたりします。
しかし、 WBSや進捗表を作る前に確認すべきことが5つ あります。これを飛ばすと、後から「そもそも前提が違っていた」と作り直しになります。本記事では、新任PMが着任後1週間で確認すべき5項目と、進め方を解説します。
なぜ「いきなりWBS」が失敗するのか
WBSは、目的・体制・制約・顧客期待・リスクが明確になって初めて意味のあるものになります。これらが曖昧なままWBSを作ると、
- スコープ外の作業まで含めてしまう
- 体制に合わないタスク粒度になる
- 顧客の本当のゴールに沿っていない
- リスクへの備えが組み込まれていない
という、 「作った瞬間に陳腐化するWBS」 が完成します。手戻りを防ぐために、まず5項目を確認します。
確認1:目的(なぜこの案件があるのか)
最初の問いは「この案件は、顧客が何を実現したくて発注したのか」です。
「ECサイトを作る」は手段であって、目的ではありません。本当の目的は「現在の店舗ビジネスをオンラインに広げたい」「特定の商品の販路を増やしたい」など、顧客の事業に紐づいています。
確認すべき具体的な問い:
- 顧客は、納品物を使って何を実現するか
- なぜ今このタイミングで発注するか
- 成功を顧客がどう測定するか(売上、業務効率、顧客満足度など)
これが分からないと、 「機能は揃ったけれど顧客は満足していない」 という結末になります。
確認2:体制(誰と何ができるか)
次に「自分のチームに、何ができて何ができないか」を確認します。
- メンバーの技術スキル・経験レベル
- 各メンバーの工数(フル稼働 / 兼任 / 短期)
- メンバーの強み・弱み(コミュ・設計・実装・テスト)
- 自分の権限範囲(採用・契約・発注・退場依頼など)
体制を把握せずにWBSを作ると、 「やる人がいないタスク」「やれる人が偏ったタスク」 が必ず発生します。
特に重要なのは、 「自分が持っていない技術領域」 を早めに認識することです。インフラ・セキュリティ・パフォーマンス・データ移行など、案件特性によって必要な専門性は変わります。
確認3:制約(守るべきこと、変えられないこと)
3つ目は、案件の制約条件です。これは契約書・提案書を読み込むことで把握します。
- 契約金額(追加見積をどう扱うか)
- 納期(中間納品、最終納期、検収期限)
- 検収基準(何をもって「完了」とするか)
- 技術制約(指定環境、指定ツール、互換性要件)
- 法的・規制上の制約(個人情報、業法対応など)
検収基準が曖昧な案件は、 「永遠に終わらない案件」 になりやすいので、早期に確認することが重要です。
確認4:顧客期待(明示されていないが期待されていること)
契約書に書かれている「明示的期待」のほかに、 「言われていないが期待されていること」 が必ずあります。
- レスポンスの速さ(メールの返答時間など)
- 報告の頻度・粒度
- 重要決定の事前相談の有無
- 想定される顧客側のキーマン(最終承認者、影響者)
- 過去の取引で「何があったら満足」「何があったら不満」だったか
これらは契約書に書かれていないため、 着任後に既存の社内資料を読み込む か、 前任者・営業担当に1on1で聞く ことで把握します。
確認5:リスク(最悪のケースは何か)
最後がリスクです。新任PMの段階で「全リスクを洗い出す」必要はありませんが、 「最悪のケース」を3つ挙げる ことはできます。
- 顧客との関係性リスク(窓口変更、不満蓄積、訴訟)
- 技術リスク(性能不足、互換性問題、データ移行失敗)
- 体制リスク(キーパーソン離脱、スキルギャップ、外注リスク)
これらの最悪ケースを 着任2週目までに上長と共有 することで、何かあったときのバックアップ体制を確保できます。
着任1週間の進め方
5項目を1週間で確認するための具体的な進め方を提示します。
| 日 | やること |
|---|---|
| 1日目 | 提案書・契約書を読み込む(目的・制約の素材集め) |
| 2日目 | 前任者・営業担当との1on1(顧客期待・暗黙の期待) |
| 3日目 | チームメンバーとの1on1(体制・スキル・工数把握) |
| 4日目 | 上長との1on1(権限範囲・意思決定の階層確認) |
| 5日目 | 5項目の整理と、最悪ケース3つの上長共有 |
この5日間が、案件の安定度を大きく左右します。 着任2日目からWBSを作り始める新任PMは、必ず後で作り直しになります。
5項目を整理する1枚メモ
5項目を整理する1枚メモのテンプレートです。着任1週間後にこれを埋められれば、その後のPM業務が安定します。
## ◯◯案件サマリ
### 目的
- 顧客が実現したいこと:
- 成功の測定方法:
### 体制
- メンバー:
- 自分の権限範囲:
- 不足するスキル:
### 制約
- 契約金額/納期:
- 検収基準:
- 技術・法的制約:
### 顧客期待(暗黙含む)
- 報告頻度・粒度:
- 重要決定の進め方:
- キーマン:
### リスク(最悪ケース3つ)
- 1.
- 2.
- 3.
チェックリスト:着任1週間後の準備度
- 案件の目的と成功測定方法を、自分の言葉で説明できる
- チームメンバー全員と1on1を済ませた
- 契約書・提案書を読み、制約条件を整理した
- 顧客の暗黙の期待を、前任者・営業から聞き取った
- 最悪ケース3つを上長と共有した
まとめ
新任PMが最初の1週間でやるべきは、WBS作成ではなく 目的・体制・制約・顧客期待・リスクの5項目確認 です。この5項目が固まれば、その後のWBS・進捗管理・課題管理はすべて自然に整います。
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