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法人向けPM育成

社長がPMを兼務し続ける会社で起きる5つの実害|採用・育成・粗利・顧客対応に出る悪影響

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社長がPMを兼務し続ける会社で起きる5つの実害|採用・育成・粗利・顧客対応に出る悪影響

「PMが足りないから、自分が入っている」——従業員50名以下のIT受託会社では、社長やCTOが案件PMを兼務している状態が珍しくありません。立ち上げ期には合理的だった選択が、いつの間にか抜け出せない構造になっているケースがほとんどです。

本記事では、社長・CTOがPMを兼務し続けることで「採用・育成・粗利・顧客対応・経営判断」の5領域に出てくる実害を、受託開発の現場視点で整理します。

関連:意思決定スピードや成長機会の剥奪など、社長兼任PMの「構造的限界」を整理した記事として 社長がPMを兼務している会社で起きる5つの限界 もあります。本記事は、より日常業務にあらわれる「実害」に焦点を当てます。

実害1:採用基準が「即戦力PM」に偏り、母集団が枯れる

社長がPMを兼務し続けると、採用要件が「来週から案件を1本任せられるPM」になりがちです。経営者の頭の中では「自分の負荷を下げてくれる人」が採用ゴールになっているからです。

しかしこの基準で母集団を絞ると、応募者がほぼ来ません。経験豊富なPMは大手で安定収入を得ており、50名規模の受託会社の求人に集まりにくいのが現実です。結果として「半年探しても採用できない」という状態が続き、社長の兼務もさらに長引きます。

抜け出すには、採用基準を「即戦力PM」から「育成1年後にPMになれるPL層」に切り替える判断が必要です。これは社長の兼務状態では下せない判断であり、ここに最初のジレンマがあります。

実害2:PM候補が「経営者の劣化コピー」しか目指せない

社長が常時PMとして現場に入っていると、若手にとって「PMとは社長のような人」というイメージが固定されます。

社長は経営判断と顧客対応の両方を抱えており、属人的な意思決定の速さで案件を回しています。若手はそれを「PMの理想像」と捉え、再現できない自分に自信を失います。本来であれば、案件PMには案件PMの型があり、社長の判断とは別の軸で動くべきですが、その分離が組織の中で見えていません。

「社長ができるからやれ」「自分はこうしてきた」という指導は、本人の自己評価を下げるだけでなく、PM候補のキャリア意欲も削っていきます。

実害3:粗利が見えるのが案件終了後になる

社長兼PMの会社では、案件の粗利管理が「終わってみたら赤字だった」「終わってみたら想定より残った」という事後確認になりがちです。

社長は10案件を頭の中で並行管理しているため、案件単位の月次粗利を細かく見る時間がありません。本来であればPMが月初に見積・実工数・残作業を整理し、上長レビューで早期に異常を検知すべきですが、その「上長」自身がPMをやっている構造では、レビューが機能しません。

結果として、月次の粗利確定が決算間際になり、銀行対応や賞与・採用計画のすべてが後手に回ります。経営の意思決定スピードを落としているのが、社長自身のPM兼務であるという皮肉な構造です。

実害4:顧客対応の窓口が社長に集約され、解約リスクになる

社長がPMをやっていると、顧客から見ても「窓口は社長」になります。短期的には信頼感が高く、追加発注も決まりやすい状態です。

問題は、この状態が「社長が動かないと話が進まない」という顧客側の認識を固定することです。社長が他の案件で対応が遅れた瞬間、顧客の不満は一気に高まり、「窓口を変えたい」「別のベンダーも検討する」という方向に動きやすくなります。

社長兼PMで取った案件ほど、引き継ぎのときに解約リスクが上がるのは、ここに原因があります。

実害5:経営判断が短期最適に寄る

社長がPM業務で時間を取られていると、3年後の事業ポートフォリオ、サービスの開発投資、人事制度の見直しといった「重要だが緊急ではない」テーマに頭を使う余裕がなくなります。

中期テーマを考えるための連続した3時間が確保できず、案件の合間に断片的に考えるしかなくなる結果、経営判断が「今月の売上」「目の前の人手不足」に寄っていきます。気がつくと、5年前と同じ事業構造のまま、社長だけが疲弊している状態になります。

抜け出すための3つの初手

実害を理解したうえで、明日から動ける初手を3つ挙げます。

  1. 「自分しか判断できない案件」を3つに絞る——まず棚卸しして、それ以外は社内PMかPM候補に渡す前提で動く
  2. PM候補1人につき、社長レビュー時間を週2回30分ずつ固定で確保する——案件の合間に見るのではなく、育成の時間を先に押さえる
  3. 3か月後の自分の役割を文章化する——「営業・採用・経営判断に8割の時間を使っている状態」というゴールを書き出し、毎月見直す

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まとめ採用・育成・粗利・顧客対応・経営判断という5領域で、組織の成長を構造的に止めています。

「うちは社長が抜けたら案件が回らない」という会社こそ、まずは現状の棚卸しから始めることをおすすめします。PM組織健康診断 では、社長依存の度合いと、PM機能を分離するための優先順位を客観的に確認できます。