「お願いしたのに思っていたものと全然違うものが来た」「期限の日になってみたら、まだ着手すらされていなかった」——依頼した側が何かを言わなかったのか、受けた側が確認しなかったのか、どちらにも原因があることが多いですが、PMとして防げることはあります。
依頼が曖昧だと手戻りが増え、PM自身の時間も奪われます。
依頼が曖昧だとPMの手戻りが増える
依頼が曖昧なまま動き始めると、担当者は「おそらくこういう意味だろう」と自分で解釈して進めます。その解釈がPMの意図とずれていた場合、作業を最初からやり直すことになります。
担当者を責めることはできません。PMが「目的・完了条件・期限」の3点を最初から明確にしていれば、こうした手戻りの多くは防げます。
条件1:目的
「なぜこのタスクが必要なのか」を最初に伝えます。
目的が分かっていると、担当者は作業中に判断が必要な場面で自分で考えて動けます。目的が分からないと、「自分の判断で進めてよいか分からない」という状態になり、確認の往復が増えます。
悪い例:「この画面の仕様をまとめておいてください」 良い例:「来週の顧客定例でA画面の仕様説明があるので、口頭で説明できる資料を作ってほしいです」
「来週の顧客定例のため」という目的が分かれば、担当者はどのレベルの資料を作ればよいかを自分で判断できます。
条件2:完了条件
「どういう状態になったらOKか」を具体的に伝えます。
これがないと担当者は「ある程度できたら提出しよう」という感覚で動くため、PMが求めるレベルと実際の成果物にギャップが生まれます。
悪い例:「スケジュールを更新してください」 良い例:「スケジュールを更新して、遅延している3タスクに新しい完了予定日を入れてください。更新後はSlackで完了報告をしてください」
完了の状態が具体的なほど、確認の手間が減ります。
条件3:期限と確認タイミング
期限を伝えるだけでなく、「途中で確認するタイミング」も合わせて伝えておきましょう。
「金曜日まで」と言うだけでは、担当者が金曜の夕方に着手することも起こりえます。「水曜に途中確認させてください」という一言があると、進捗が見えるタイミングができます。
また、期限が守れなそうになったときに早めに言ってもらえるよう、「途中で詰まったら早めに知らせてほしい」と添えておくことも有効です。これは依頼の文化として積み重ねていくものです。
悪い依頼例と良い依頼例
悪い依頼例: 「田中さん、課題管理表を更新しておいてください」
この依頼では「どこを」「いつまでに」「どの状態に」が不明です。
良い依頼例: 「田中さん、明日の定例前までに課題管理表の対応中ステータスの課題に、最新の進捗コメントを入れておいてほしいです。分からないところがあれば木曜夕方までに教えてください」
目的(明日の定例前に使う)・完了条件(最新コメントを入れる)・期限(木曜夕方)が入っています。
受託開発では、顧客向けデモや設計書レビューなど締め切りの意味合いが重い依頼が多くなります。
受託開発での依頼例(悪い): 「デモ用の資料、準備しておいてください」
受託開発での依頼例(良い): 「来週火曜の顧客デモで使うために(目的)、A機能の操作手順を5ステップで示したスライドを1枚お願いしたいです。顧客に口頭で説明できる粒度で十分です(完了条件)。金曜午前中までにご共有いただけますか。木曜夕方に一度途中確認します(期限)」
依頼後のフォロー方法
依頼したら「あとは期限まで待つ」ではなく、途中で一度声をかけることが大切です。「○○の件、順調ですか?」という短い確認が、担当者に「気にかけてもらっている」という安心感を与え、問題が早めに出てくる文化を作ります。
ただし、過度な確認は逆効果です。期限の半分程度のタイミングで1回確認する程度が適切です。
まとめ
PMが担当者への依頼で曖昧にしない3条件を整理しました。
- 条件1:目的(なぜこのタスクが必要か)
- 条件2:完了条件(どういう状態になればOKか)
- 条件3:期限と確認タイミング(いつまでに・途中で確認する日時)
この3点が揃った依頼は、担当者にとって動きやすく、PMにとっても手戻りが少ない状態を作ります。
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