「このサービス、パスワードは他と同じにしています」という方は少なくありません。でも、パスワードの使い回しはセキュリティ上、非常に危険な習慣です。なぜ危険なのか、どう対処すべきかをわかりやすく整理します。
この記事でわかること
- パスワード使い回しがなぜ危険なのか
- 安全なパスワードの条件とは
- パスワードマネージャーとは何か
- IT現場でのパスワード管理の基本
- 初心者がつまずきやすいポイント
なぜパスワードの使い回しは危険なのか
「リスト型攻撃(クレデンシャルスタッフィング)」という攻撃手法があります。
攻撃者はどこかのサービスで大量に漏えいしたIDとパスワードのリストを入手し、それを別のサービスに試します。たとえば、あなたが使っているオンラインショッピングサービスAのIDとパスワードが漏えいしたとします。そのとき、同じIDとパスワードをメールやSNS、銀行口座でも使っていると、それらも不正ログインされるリスクがあります。
「大手のサービスなら安全」とは言えません。どんなサービスでも情報漏えいはゼロではなく、実際に大手企業でもたびたび発生しています。
安全なパスワードの条件
長さが大事 文字数が増えるほど、総当たり攻撃(ブルートフォース)に対して強くなります。最低でも12文字以上が推奨されています。
複雑さよりも長さと一意性が重要 「P@ssw0rd」のように記号を混ぜていても、使い回しているなら意味がありません。それよりも「サービスごとに異なるパスワードを使う」ことが最優先です。
推測しやすい言葉を使わない 誕生日、名前、会社名、連続した数字(123456)などは避けましょう。これらは最初に試される定番パターンです。
パスワードマネージャーとは?
「サービスごとに違うパスワードを使う」と言っても、人間の記憶には限界があります。そこで活用したいのがパスワードマネージャーです。
パスワードマネージャーとは、すべてのサービスのIDとパスワードを暗号化して管理するツールです。
- 1つの「マスターパスワード」だけ覚えれば、他のパスワードはツールが管理してくれる
- サービスごとに異なる長いランダムなパスワードを自動生成できる
- ログイン時に自動入力してくれる機能もある
代表的なツールに「1Password」「Bitwarden」「LastPass」などがあります。ブラウザのパスワード保存機能(Chrome、Safariなど)も基本的な機能を持っています。
IT現場ではどう使われるか
- 社内で使う業務システムのパスワードは、個人管理ではなく部署の管理ツールで一元管理するケースが増えています
- エンジニアはサーバーやクラウドサービスへのアクセスパスワードを、パスワードマネージャーや秘密管理ツール(Vault、AWS Secrets Managerなど)で管理します
- 退職者が出たときにすぐ権限を削除できる仕組みを作ることも、組織のパスワード管理の一部です
初心者がつまずきやすいポイント
「パスワードを忘れるのが怖い」でも使い回しはNG 忘れることを恐れてシンプルなパスワードを使い続けるよりも、パスワードマネージャーに管理させる方が安全です。「パスワードを覚えなくていい」という発想に切り替えることが大切です。
定期変更が必ずしも正しいわけではない 「3ヶ月ごとにパスワードを変えなさい」というルールを設けている組織もありますが、近年のセキュリティの考え方では、漏えいした形跡がない限り頻繁な変更を義務化することの効果は限定的とされています。それよりも「強くて一意なパスワードを使う」ことが優先です。
「秘密の質問」は答えを推測されやすい 「母親の旧姓は?」「ペットの名前は?」などの秘密の質問は、SNSなどから推測される可能性があります。意味のないランダムな文字列を答えに設定することが推奨されています。
関連用語
- ブルートフォース攻撃:すべての組み合わせを試してパスワードを解析する攻撃
- フィッシング:偽サイトにパスワードを入力させて盗む攻撃
- パスワードハッシュ:パスワードをそのまま保存せず変換して保存する技術
- ゼロトラスト:「内部だから安全」という考えを捨て、常に検証するセキュリティモデル
仕事で使うときの注意点
社内研修やセキュリティ教育でパスワード管理を取り上げる場合、「ルールを課す」だけでなく「パスワードマネージャーの使い方を教える」ことがセットになると、実際の行動変容につながりやすいです。
さらに学ぶなら
パスワード管理を含むセキュリティの基本は、FEX-105「セキュリティ入門」で体系的に学べます。ビルの入退室管理というたとえで、パスワード・暗号・認証の仕組みをまとめて学習できます。
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