新しいチームに着任したとき、ドキュメントを読み込めばプロジェクトの状況はある程度分かります。でも「チームの状況」——誰がどれだけ疲弊しているか、どこに不満が溜まっているか、誰が次の問題を抱えているか——は、資料には書いてありません。
それを知る方法は、メンバーへの直接ヒアリングです。
チーム状況は資料だけでは分からない
進捗管理表や課題ログには「表に出た問題」しか反映されません。「表に出ていないが実は詰まっていること」「担当者が不安に思っているが言い出しにくいこと」「リスクを感じているが誰にも言っていないこと」——こういった情報は、メンバーとの会話からしか得られません。
特に途中参画や引き継ぎの場合、前任PMとの関係性の中で「この人には話せていなかったこと」が新任PMへのヒアリングで出てくることがあります。
ヒアリング前に伝えること
ヒアリングを始める前に、メンバーに以下を伝えておくと話が出やすくなります。
「チームの状況を正確に把握したいので、少し時間をもらえますか。これは評価や査定には関係ありません。教えてもらったことは、チームがより動きやすくなるために使います」
「評価に関係ない」という一言があることで、マイナスの情報も出てきやすくなります。
聞く項目1:担当範囲
まず「何を担当しているか」の認識を確認します。
「今どんなタスクを担当していますか?今週末までにやらなければならないものはありますか?」
これだけで、「PMが認識している担当と実際の担当がずれていないか」が確認できます。案外、誰も担当者が決まっていないタスクや、二重に対応しているタスクが見つかることがあります。
聞く項目2:詰まり・困りごと
次に「困っていること・詰まっていること」を聞きます。
「今の担当の中で、詰まっていることや進めにくいと感じていることはありますか?」 「誰かの確認や承認を待っていて止まっているものはありますか?」
「問題はありますか?」という直接的な質問は「ない」で終わりやすいので、「詰まっている」「止まっている」という具体的な状態で聞くのがコツです。
聞く項目3:リスクと期待
最後に「リスクとして感じていること」と「PMへの期待」を聞きます。
「この先1〜2ヶ月で問題になりそうだと感じていることはありますか?」 「PMとして、あなたが一番手伝ってほしいことは何ですか?」
「期待」を聞くことは、PMとしてのプライオリティをメンバーの視点でキャリブレーションする機会にもなります。「もっと課題の処理を早くしてほしい」「顧客との折衝で先頭に立ってほしい」など、チームが何を求めているかが分かります。
ヒアリング結果を整理する
ヒアリングが終わったら、内容を3点に整理します。
- 即対応すべきもの:今週中に解決しないと影響が出るもの
- 継続してウォッチするもの:リスクとして気にし続けるもの
- PMとして動くべきもの:メンバーが求めていることで、PMが対応できるもの
この3点を整理してメンバーにフィードバックすると、「ちゃんと聞いてくれた」という信頼につながります。フィードバックなしで終わると、「言ったのに何も変わらない」という不信感になることがあります。
まとめ
新任PMがチームの状況をつかむためのヒアリング項目を整理しました。
- ヒアリング前:「評価に関係ない」と伝えて安心感を作る
- 聞く項目1:担当範囲(何を担当していて、何が止まっているか)
- 聞く項目2:詰まり・困りごと(止まっているものと確認待ちのもの)
- 聞く項目3:リスクと期待(この先の懸念とPMへの要望)
ヒアリングで使える一言例
| 聞く項目 | 使える一言 |
|---|---|
| 担当範囲 | 「今担当しているタスクと、現時点で進んでいないものがあれば教えてください」 |
| 詰まり・困りごと | 「誰かの確認・回答待ちで止まっているものはありますか?私から動けるものがあればします」 |
| リスクと期待 | 「今後1〜2ヶ月で、進め方が難しくなりそうな部分があれば教えてください」 |
「何か困っていますか?」より、具体的な状況を聞く質問にすると、メンバーも答えやすくなります。
資料では見えないチームの実態を、早めにヒアリングで把握することが、問題が大きくなる前に動ける土台を作ります。
チームマネジメントスキルを体系的に学びたい方はこちらもどうぞ。