「気づいたら工数が見積の1.3倍になっていた」――受託開発のPMが、月次の予実会議でよく口にする言葉です。
このとき多くのPMは「進捗が遅れている」と捉えますが、実際に起きているのは進捗の遅延ではなく工数の膨張です。両者は似ているようで対処法が違います。
本記事では、工数膨張の5原因と、PMが早めに確認すべきことを整理します。
「遅延」と「工数膨張」を分けて考える
進捗遅延は、計画通りの工数を消化しているのにスケジュールが間に合っていない状態。
工数膨張は、計画した工数を超えてタスクをこなしている状態です。
赤字案件は前者ではなく、ほぼ後者です。PMが「遅れているから取り戻そう」と判断してしまうと、工数膨張がさらに進みます。
工数が膨らむ5つの原因
原因1:手戻りが多発している
設計レビュー・コードレビュー・テストでの指摘が多く、戻り作業の連鎖が起きている状態です。
チケットの「完了→再オープン」の数を毎週見るだけで早期に検知できます。
原因2:仕様が未確定のまま走らせている
「とりあえず作ってみて」の指示で走らせているタスクは、ほぼ確実に作り直しになります。未確定要件の件数と滞留日数は、進捗以上に重要な指標です。
原因3:レビュー待ち・確認待ちが渋滞している
開発タスクは進んでいるのに、レビューや顧客確認で詰まっている状態です。
タスクの「着手中」「レビュー中」「確認待ち」の件数バランスが偏っていないか確認します。
原因4:品質不良が後工程に流れている
単体テスト不足のままシステムテストに流したことで、発見コストが跳ね上がっている状態です。
工程別のバグ検出比率が崩れているとき、これが原因です。
原因5:顧客と社内の認識ズレが解消されていない
仕様の理解、検収条件、優先順位――これらの認識ズレが解消されないまま走ると、終盤で大量の調整工数が発生します。
PMが早めに確認すべきこと
工数消化率と進捗率の乖離
工数消化率が60%なのに進捗率が40%なら、確実に膨らんでいます。週次でこの2つを並べて見る。
戻りタスクの件数推移
完了→再オープンの件数、レビュー指摘件数の推移。
未確定要件の件数と滞留日数
10件以上未確定が残っているなら、それを潰す方が優先です。
顧客確認待ちタスクの平均日数
7日を超えるものが3件以上あるなら、確認の催促が必要です。
体制不足のサイン
メンバーの残業時間、レビュアー不足、テスト要員不足のいずれかが出ていれば、追加投入の判断を上長と相談すべきタイミングです。
工数膨張を「PMの責任」にしない
ここまで5原因を見ると、工数膨張はPM個人の管理能力で防ぐものではありません。
レビュー体制、未確定要件のエスカレーションルート、顧客確認の催促ルール――これらは会社の仕組みとして整える必要があります。
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