「追加費用が必要です」と顧客に切り出した瞬間に、空気が固くなる経験は、受託開発のPMなら誰でもあるはずです。
ただ、空気が固くなる原因の多くは、追加費用そのものではなく、説明資料の準備不足にあります。
本記事では、追加費用説明でPMが顧客に渡すべき資料の中身と、感覚請求から根拠ある請求へ変えるための準備手順を整理します。
感覚請求はなぜ通らないか
感覚請求とは、「これだけ大変だったので◯万円ください」というタイプの説明です。これが通らない理由は単純で、顧客側が判断するための材料を渡していないからです。
顧客側には顧客側の意思決定者がおり、その人を説得するための情報が必要です。PMが「お願いベース」で説明している限り、顧客側の社内決裁は通りません。
A4一枚で揃える「追加費用説明資料」の構成
複雑なドキュメントは不要です。A4一枚で以下6項目があれば、十分に判断材料として機能します。
1. 変更履歴(時系列)
- いつ、誰から、どのような要望を受けたか
- 当初契約・見積に含まれていた範囲との差分
時系列で並べるだけで、「これは確かに変更だった」という認識を共有できます。
2. 影響範囲
- 影響する機能・画面・データ・テスト範囲
- 既存タスクへの影響
「どこに影響するか」を見せることで、追加工数の必然性が伝わります。
3. 追加工数と追加費用
- 工数の内訳(設計・実装・テスト・ドキュメント)
- 単価×工数の根拠
数字を出すだけでなく、内訳を見せることが信頼につながります。
4. 代替案
- 全部やる案
- 一部だけやる案
- 納期を伸ばして調整する案
- 既存要件を削って吸収する案
代替案を並べるだけで、「請求のため」ではなく「最適解を一緒に探している」姿勢が伝わります。
5. 判断期限
- いつまでに判断してもらえれば、当初納期に間に合うか
- 判断が遅れた場合の影響
期限を明示しないと、顧客側は判断を保留し続けます。
6. 必要な顧客側の動き
- 決裁者の特定
- 必要な社内調整
- 確認が必要な事項
顧客側で誰に何をしてもらう必要があるかを書くと、社内調整がスムーズに進みます。
説明資料の準備にAIを使うときの注意
A4一枚の説明資料は、生成AIで下書きを作るのに向いている領域です。ただし、以下の注意は必須です。
- 顧客名・契約金額・案件固有情報をそのまま入力しない:自社利用ルール、顧客の情報管理ルールに従う
- AIが出した根拠を鵜呑みにしない:影響範囲・工数算出は必ずPM自身が検証する
- 顧客向け資料は人がレビューする:トーン・誤解されやすい表現は人の目で必ず確認する
顧客折衝・変更管理のテンプレートを揃えたい方へ
追加費用説明だけでなく、議事録・進捗報告・障害報告・変更影響説明などをまとめて整えたいPMには、AIプロンプト集 が活用できます。
受託PM向けに整備されたプロンプトテンプレートで、説明資料の下書きを短時間で揃えられます。顧客に渡す資料は必ず人がレビューする運用と組み合わせて使ってください。