振り返り会が終わった後に「結局同じ問題が次の案件でも起きた」という経験はありませんか。KPTを書いて終わり、感想をまとめて終わり──振り返りが改善に繋がらない原因は、論点整理が浅いことにあります。
AIを使うと、振り返りの材料を「事実・原因・改善案・教訓」の4層に分類する作業が速くなります。ただし、AIに要約させて終わりにするのは、感想をまとめるだけとほぼ変わりません。
AIで振り返りを要約するだけでは弱い
振り返り会のメモをAIへ渡して「要約して」と頼むと、発言の内容を圧縮した文章が返ってきます。見た目は整っていますが、次の案件に引き継げる形にはなっていません。
振り返りの本当の目的は「同じ問題を繰り返さないこと」です。そのためには、何が起きたか(事実)から始まり、なぜ起きたか(原因)、次回どうするか(改善案)、普遍化できる教訓は何か(教訓)という流れで整理する必要があります。
AIはこの「分類」と「整理」の補助に使うと効果的です。要約ではなく、構造化を目的に使います。
入力する材料を整理する
振り返りをAIへ渡す前に、以下の材料を手元に集めます。
- 振り返り会のメモ・ホワイトボードの内容
- KPT(Keep・Problem・Try)を書いた場合はその内容
- 案件の課題管理表や週次報告(振り返りで言及されたもの)
全部を投入する必要はありません。「今回の振り返りで特に議論になった問題」に絞って入力すると、AIの出力が散漫になりません。
事実・原因・改善案に分ける
以下の指示構造でAIへ渡すと、論点が整理された形で出力されます。
以下の振り返りメモをもとに、プロジェクト改善のための論点整理をしてください。
【整理フォーマット】
1. 事実:実際に何が起きたか(推測を含まない)
2. 原因:なぜそれが起きたか(1次原因・背景原因)
3. 改善案:次回どうすれば防げるか
4. 保留:情報が不足していて判断できない事項
【振り返りメモ】
(ここに会議メモを貼る)
「保留」のカテゴリを用意しておくのが重要です。AIが情報不足の事項を推測で埋めてしまうのを防ぎ、「次回確認が必要なこと」として明示できます。
次案件へ残す教訓に変える
AI出力の「改善案」をそのまま使うのではなく、次の案件でも使える教訓の形に変換します。
PMがAI出力をもとに考えること:
- 「この改善案は次の案件でも適用できるか、それともこの案件特有の話か」
- 「同じ状況が起きたとき、チームが自分で対応できる形にするには何を残すべきか」
- 「チェックリストや判断基準に落とし込めるか」
AIはある案件の振り返りから改善案を出せますが、「普遍化」はPMが行う作業です。「次回は要件確認を2回行う」ではなく、「要件確認チェックリストにスコープ除外の明記を追加する」まで落とし込んで初めて、教訓として機能します。
AI出力をチームでレビューする
AIが整理した論点は、振り返り会に参加したメンバーと確認します。
確認のポイント:
- 「事実」として整理された内容が実際の出来事と一致しているか
- 「原因」がPMの視点だけでなく、現場の実態を反映しているか
- 「改善案」がチームにとって現実的に実行できるものか
AI出力は一人の解釈で作られた初稿です。チームの目線で検証することで、実行可能な改善につながります。
振り返りの論点整理にAIを使う目的は、議論の前段取りを速くすることです。AIで整理した構造をたたき台に、チームで深掘りするための時間を確保する──これが振り返りにAIを活かす実務の使い方です。
プロジェクト振り返りとPMの育成手法を体系的に学びたい方は、生成AI×PM実務パックをご覧ください。
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