「来期からPMに粗利責任を持たせる」――この方針を打ち出した会社のうち、半数以上はPMの離脱・モチベーション低下を経験します。
理由は単純で、粗利責任を負わせる順序を間違えているからです。
PMに数字を持たせる前に、整えるべきものがあります。本記事では、その順序を開発責任者・経営者向けに整理します。
なぜ「いきなり粗利責任」は機能しないのか
粗利は、PMの判断が変数として効くものの、PMだけで作れる数字ではありません。
営業の見積、契約条件、顧客との関係、技術選定、メンバーの稼働、上長判断――多くの要素が絡みます。
それらを全部背負わせると、PMは「自分の責任ではないところで赤字になっているのに、責任だけ取らされる」状態になり、辞めます。これは育成失敗です。
粗利責任を負わせる前に整える4つの段階
段階1:工数を読めるようにする
PMに最初に必要なのは、「自分の案件に何人月を使っているか」を肌感覚で把握する力です。
週次の工数消化と進捗率の見方、残工数の見立て方を実務で訓練します。
ここができていないPMに粗利責任を持たせても、感覚で数字を作るだけです。
段階2:変更を管理できるようにする
工数の次は変更管理です。
変更要望を受けた瞬間にチケット化し、48時間以内に影響整理を出し、顧客と合意し、文書で残す――この一連が運用できるようになって、初めて粗利の話に入れます。
段階3:リスクを言語化できるようにする
未確定要件、新規技術、顧客側の体制不足、サブベンダー依存――こうしたリスクを「言葉で並べる」ことができるPMは、上長レビューで防波堤になります。
リスクを早期に上げられるPMは、結果として赤字を出しにくいです。
段階4:見積前提を理解できるようにする
自分の案件の見積に何が含まれていて、何が含まれていないのか、前提条件は何だったのか。
これを理解しているPMは、変更要望を受けたときに即座に「これは見積外」と判断できます。
この4段階を経て、初めて粗利責任を持たせる
段階1〜4が回るようになって、初めて粗利責任を持たせる段階に入ります。
ここでも、粗利そのものを目標にするのではなく、「粗利を生む手前の指標」を主な目標にしてください。
- 工数消化率と進捗率の乖離
- 変更管理の運用状態
- 顧客確認待ちの滞留
- レビュー指摘件数の推移
これらを目標にした方が、PMは動きやすく、結果としての粗利も安定します。
経営の責任範囲を明確にする
粗利責任を持たせるとき、合わせてやるべきは「経営が責任を持つ範囲」の明示です。
営業段階の値引き、契約前提の決定、サブベンダー選定、技術ロードマップ、人員配置――これらをPMの責任にしないでください。
PMが「自分のコントロール下にあるもので評価される」状態を作れていないと、育成は機能しません。
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