前任PMから引き継いだ資料は、フォルダに数十ファイル。議事録・要件定義書・スケジュール・課題管理表……どこから読めばいいか分からないまま、翌日には顧客定例が入っている。
こうした状況に突然放り込まれる新任PMは少なくありません。「全部理解してから動こう」と思うと動けなくなります。引き継ぎ直後に必要なのは、完全な理解ではなく「今この案件がどこにいて、何が決まっていないか」の最低限の地図です。
それを素早く作るのが「1枚メモ」です。
引き継ぎ直後に全部理解しようとしない
引き継ぎを受けた初日に「このプロジェクトを完全に把握する」のは無理です。前任PMが数ヶ月かけて積み上げた情報を、数時間で頭に入れようとすると必ずパンクします。
大切なのは、全部を理解することより「上司や顧客に最低限説明できる状態を作ること」です。1枚メモはそのための道具であり、後から随時更新していくものです。最初から完璧を求めないことが、引き継ぎを乗り越える最初のコツです。
1枚メモに入れる項目
1枚メモに書くのは、次の5項目です。
① 案件の目的 「このプロジェクトは何のためにあるか」。要件定義書や議事録の冒頭にあることが多いですが、ない場合は前任PMや発注者に直接確認します。
② スコープと対象外 「何をやる案件で、何はやらないか」。引き継ぎ時に最も見落とされやすいのがこの「対象外」です。スコープが曖昧だと後から際限なく追加要望が出ます。
③ 体制と連絡先 PM・PL・担当者・顧客の担当者名と役割。「誰が何の責任を持っているか」を最低限把握します。
④ 現在の進捗と直近のマイルストーン 「今フェーズはどこか」「次の締め切りはいつか」。スケジュール全体を読み込む前に、直近2〜3週間に何があるかを先に確認します。
⑤ 未決事項・懸念事項 「まだ決まっていないこと」と「リスクになりそうなこと」。引き継ぎのタイミングで前任PMへの質問で早く埋まります。
前任PMへの質問例:
- 「一番気になっていたことは何ですか?」
- 「顧客との間で曖昧なままになっていることはありますか?」
- 「対応を後回しにしていた問題がありますか?」
1枚メモの使い方
1枚メモは完成したら終わりではなく、着任後1〜2週間の確認作業の「地図」として使います。
上司レビューに持っていく際は、「今時点の理解」として提示し、確認できていない部分を正直に示すことが大切です。「まだここが曖昧なので確認予定です」と言える状態が、引き継ぎ直後の正直な姿です。
また、最初の顧客定例前に「この認識で合ってますか?」と確認する材料としても使えます。認識ズレがあれば早めに潰せるので、後になって大きな問題になることを防げます。
まとめ
引き継ぎ直後は大量の情報に圧倒されますが、まず作るべきは詳細な理解ではなく「5項目の1枚メモ」です。
- ① 案件の目的
- ② スコープと対象外
- ③ 体制と連絡先
- ④ 現在の進捗・直近マイルストーン
- ⑤ 未決事項・懸念事項
この5項目が埋まれば、上司への報告と最初の顧客対応をなんとか乗り越えられます。細かい理解はその後でかまいません。